2025年10月17日
モデルナ、2025年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会でがん抗原療法「mRNA-4359」の有望な初期データを発表
mRNA-4359は第1/2相臨床試験において第2相パートへ移行
この資料は、モデルナ(マサチューセッツ州ケンブリッジ)が2025年10月12日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳したもので、報道関係者の皆さまに参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.modernatx.comをご参照下さい。
【米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、2025年10月12日発】モデルナ(NASDAQ:MRNA)は本日、免疫チェックポイント阻害剤抵抗性または難治性(CPI-R/R)悪性黒色腫患者を対象として開発中のmRNA-4359とペムブロリズマブ併用療法を評価した第1/2相試験の臨床成績、安全性およびトランスレーショナルデータを、2025年10月17日~21日にドイツ・ベルリンで開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表することを明らかにしました。mRNA-4359は、免疫逃避機構を標的としたがん抗原療法(Cancer Antigen Therapy: CAT)で、PD-L1およびIDO1という2つの主要な免疫逃避経路のエピトープをコードしています。これにより、抗原特異的T細胞応答を誘導し、腫瘍細胞の直接的な殺傷および腫瘍免疫抑制細胞の除去を促すことを目的としています。
この発表には、1回以上の免疫チェックポイント阻害剤(CPI)治療を受けたCPI抵抗性または難治性(CPI-R/R)悪性黒色腫患者29人のデータが含まれています。治験参加者は、400µg(n=14)または1,000µg(n=15)の本品を含む併用療法を、3週間ごとに最大9回の筋肉内投与を受けました。すべての評価可能な患者において、客観的奏効率(ORR)は24%であり、抗腫瘍反応または病勢安定を達成した患者の割合である病勢制御率(DCR)は60%でした。奏効評価が可能な疾患を有し、かつPD-L1陽性(TPS≥1%)の腫瘍を有する患者の中では、ORRは67%(9人中6人)でした。治療により、末梢血中で抗原特異的T細胞応答および新規T細胞受容体クローンが誘導されました。奏効期間中央値(DOR)は未達でした。PD-L1陽性患者における有効性の改善は、この高いアンメット・メディカル・ニーズを有する集団において、PD-L1が予測バイオマーカーとしての可能性を示唆しています。
モデルナの治療製品とオンコロジー領域の開発責任者のカイル・ホーレン(Kyle Holen)医師は「初期段階のデータですが、今回発表する、免疫チェックポイント阻害剤に高度に抵抗性を示す転移性悪性黒色腫患者におけるmRNA-4359のデータは、この分野において類をみないものであり、今後の開発を進めるうえで非常に有望な結果です。多くの患者さんにとって高いアンメット・メディカル・ニーズに応えられる可能性を示していることに、私たちは大いに勇気づけられています。他のチェックポイント阻害剤が非特異的なT細胞活性を回復させるのに対し、mRNA-4359は2つの重要な免疫逃避経路をコードすることで、新たな標的指向性T細胞の生成を助けます。これにより、既存治療で効果が得られなかった患者さんに対して、より広範で持続的な免疫応答をもたらす可能性があります。私たちはこのデータを発表できること、そしてモデルナのmRNAベース治療ががんに苦しむ人々の人生を変える可能性を示せることを誇りに思います」と述べています。
mRNA-4359とペムブロリズマブの併用療法は、一貫して管理可能な安全性プロファイルを示し、新たな免疫関連有害事象は認められませんでした。mRNA-4359は現在も、進行性悪性黒色腫および非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、単独療法およびペムブロリズマブとの併用療法として、進行中の第1/2相試験(NCT05533697)で評価が続けられています。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの探索的がん治療学臨床教授であり、インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラスト腫瘍内科医、そして本演題の筆頭著者・発表者であるデイビット・J・ピナト(David J. Pinato)教授は「一次治療の免疫療法に反応しなかったPD-L1陽性患者に対しては、現行の治療選択肢が限られており、有効で忍容性の高い治療法の必要性は明らかです。mRNA-4359には、腫瘍微小環境のバランスを再構築し、この免疫療法抵抗性を克服する可能性があります。今回のデータは、mRNA-4359の可能性をさらに探求していく上で非常に心強いものです」と述べています。
発表の詳細は以下のとおりです。
• ミニオーラル発表 #1515MO:
「免疫チェックポイント阻害剤耐性/難治性(CPI-R/R)悪性黒色腫におけるmRNA-4359とペムブロリズマブ併用試験の臨床成績およびPD-L1発現解析」
• 日時:2025年10月17日(金)午後2時~3時30分(中央ヨーロッパ時間)
• 会場:ニュルンベルク・オーディトリアム(ホール5.2)
• 発表者:デイビット・J・ピナト(David J. Pinato)
モデルナ・オンコロジー投資家およびアナリスト向けイベント
モデルナは、2025年10月17日(金)午後6時(中央ヨーロッパ時間)/同日正午(米国東部時間)より、投資家およびアナリスト向けのライブウェブキャストを開催します。
本ウェブキャストは、モデルナ公式ウェブサイト(investors.modernatx.com)内の「Investors」セクションにある「Events and Presentations」ページから視聴可能です。
発表後、ウェブキャストの録画は少なくとも30日間、同ウェブサイト上でアーカイブ配信される予定です。
mRNA-4359について
mRNA-4359は、免疫逃避機構を標的とするがん抗原療法であり、PD-L1およびIDO1の広範なエピトープをコードしています。
二重の作用機序により、抗原特異的T細胞応答を誘導し、同時に
1. PD-L1およびIDO1を発現する腫瘍細胞を殺傷
2. 腫瘍を免疫攻撃から防御している免疫抑制性細胞を除去
これにより、腫瘍微小環境を免疫応答が起こりやすい状態(immune-permissive state)へと再構築し、良好に管理可能な安全性プロファイルを保ちながら、持続的で耐久性のある抗腫瘍活性を支えることが期待されています。
モデルナについて
モデルナは、mRNA医薬品分野における革新的リーダーです。mRNA技術の進展を通して、モデルナは医薬品の製造方法を根本から変え、疾患の治療と予防へのアプローチを変革し続けています。モデルナは10年以上にわたって科学、技術、健康分野の研究に取り組んでおり、前例のないスピードと効率性で医薬品を開発しています。新型コロナワクチンの開発はその代表例です。
モデルナのmRNAプラットフォームは、感染症、免疫腫瘍学、希少疾患、自己免疫疾患の治療薬やワクチンの開発を可能にしています。独自の企業文化と価値観、マインドセットを共有する世界の社員が力を合わせ、人々の健康に貢献するため、そしてmRNA医薬品を通じて、人々に最大限のインパクトをもたらすべく尽力しています。モデルナの詳細については、modernatx.comをご覧ください。また、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをフォローしてください。